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判例集

借地に関する判例

このページでは、借地に関する判例を紹介いたします。
なお、同じような事例であってもそこに至るまでの過程などによって、下記事例とは違った判決がでる場合があります。
具体的な相談等に関しては、弁護士などの専門家へお尋ねください。


借地人の用法違反で、土地賃貸借契約を解除された事例
(東京地裁 平成12月25日判決)

経緯

借地人Aは、地主の許可を得て借地権を第三者へ譲り渡し、借地権を譲り受けた新借地人は、地主と非堅固建物(軽量鉄骨造)を目的とした賃貸借契約を弁護士・公証人立会のもと公正証書にて契約を締結した。
ところが、新借地人は地主に無断で、堅固建物(重量鉄骨造)を建築してしまった事から、地主は、 土地賃貸借契約の解除・建物収去・土地明渡等を求め、東京地裁に提訴した。
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裁判所判決の要旨

契約時、新借地人は非堅固建物(軽量鉄骨造)を目的として契約を締結したが地主に連絡等する事なく 堅固建物(重量鉄骨造)を建造した。
これは重要な契約違反であり、地主・新借地人の信頼関係は破壊された。
したがって、地主の請求(土地賃貸借契約の解除・建物収去・土地明渡等)をすべて認めた。


借地法の定めより短い10年間の賃貸借契約を締結し、
法定の30年間の契約期間が認められた事例
(最高裁大法廷 昭和44年11月26日判決)

経緯

昭和13年に、地主は借地人(A社)と契約期間10年間の土地賃貸借契約を締結。その5年後(昭和18年)に、借地人(A社)は地主の承諾 を得て、契約期間3年で借地人(B社)へ転貸した。
借地人(B社)は借地上に建物を築造し、建物を第三者へ賃貸した。そして、昭和23年に原契約期間から10年が満了したが、黙示的に契約は継続し、借地人は地代を支払い続け契約は継続していた。
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その後、地主は借地人Aとの10年間の土地賃貸借契約(及び借地人A・借地人B間の、3年間の転貸借契約)の終了等を求め提訴。地裁判決を控訴、大阪高裁判決を上告し、最高裁判所大法廷による判決。
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裁判所判決の要旨

借地権の存続期間は非堅固な建物につき30年以上、当事者が20年以上の存続期間を定めた場合に限り、 その期間を有効なものと認めたものと解するのが借地権者を保護する事を建前とした法条の趣旨に照らして適切である。
したがって、当事者が20年より短い存続期間を定めた契約は、借地権者に不利なものに該当し、借地法第12条により期間を定めなかったものとみなし、上告を棄却。
地主と借地人Aとの賃貸借契約開始時から30年の契約であるとした。


下水道敷設工事の承諾を求めた事例
(東京高裁 平成9年9月30日判決)

経緯

神奈川県茅ケ崎市周辺で、昭和58年頃から公共下水道の供用が開始された。
借地人は地主へ下水道の敷設工事等の承諾を求めたが応じて貰えず、後に、承諾及び妨害差し止めを求めて提訴した。
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裁判所判決の要旨

排水設備を設置する事は、本件土地に特別の利益を与えるというものではなく、建物の通常の利用上相当なものであるというべきであるから、地主は、下水道の敷設することにより回復し難い著しい損害を被るなどの特段事情がない限りは、これを承諾し工事の妨害をしてはならないとした。